第10章 夏休み4
ホテルに戻ってまだ送れていなかった分の写真を送って。
そのまま、カズとLINEでやり取りしてたら、どうしてもカズの顔が見たくなった。
お願いしたらすぐに届いたのは智くんとのツーショット写真。
背景が美術室っぽい。
今、学校にいるのかな。
写真の可愛い笑顔を見ていたら、今度は声が聞きたくなってしまう。
少し迷ったが、結局我慢できずに電話を掛けたら、カズはすぐ出てくれた。
『もしもし?』
「もしもし、カズ?今大丈夫?」
『うん、大丈夫』
「学校にいるの?」
『そう、智に会いに来たの。そっちは夜?』
「うん、夜」
『なんか不思議』
「ふふ、不思議だね」
柔らかいカズの声が耳に心地よい。
『写真たくさん送ってくれてありがと!翔ちゃんと一緒に旅してるみたいな気分になれて嬉しい』
「喜んでもらえて良かった。明日も送るね」
『うん、楽しみにしてる』
カズの声は本当に楽しそうで。
舞の忠告は聞いたものの、それでも多かったかもと少し不安もあったが、どうやら大丈夫だったようだ。
「電話も、明日も掛けていい?」
『うん···声聞けると嬉しい』
「俺も、嬉しいよ」
『えへへ』
少し照れたように聞こえる笑い声。
絶対可愛く笑ってるはず。
あー、ビデオ通話にすれば良かった!!
カズの可愛い笑顔が見たい!!
『時差ボケはしてない?』
「たぶん大丈夫」
『でも疲れてるよね。今日は早く寝てゆっくり休んでね』
「ありがとう。智くんにもよろしく伝えてね」
『うん、伝える』
「また明日ね、おやすみ」
『おやすみなさい』
まだまだカズと話していたかったけど、やっぱり体は疲れていて。
労ってくれるカズに甘えて、短い通話を終えた。
カズの可愛い声の余韻に浸りながらベッドに横になると、あっという間に眠りに落ちていった。