第9章 夏休み3
突然ニノのスマホが鳴った。
「あれ?翔ちゃんだ···ごめん、出るね」
「うん、早く出てあげて」
スマホを確認したニノが申し訳なさそうに俺を見るから、早く出るよう促す。
「もしもし、翔ちゃん?今?まだ家じゃないよ···うん···うん···ごめんね」
しまった。
うっかり立ち話してしまった。
気付けばけっこうな時間が経ってる。
翔くんずっと心配しながらニノからの連絡を待ってたんだろうな。
悪いことしたな。
謝るニノの声を聞きながら申し訳ない気持ちになる。
「ちゃんと智と一緒だよ、おしゃべりしちゃってた···本当にごめんね」
謝りながらも、ニノの口角は上がっていて。
翔くんが心配してわざわざ電話してくれたのが嬉しいんだろう。
本当に可愛い。
「うん、もう帰る。うん、うん···家に着いたら連絡するね」
ニノが話してるのを黙って聞いてたら、俺の携帯も鳴った。
見たら潤からのLINE。
『無事に帰り着いたか?』
もしかして、潤もずっと心配してくれてた?
翔くんみたいに?
······まさかね。
『まだ。ニノと立ち話してた』
返信するとすぐ既読になる。
『もう暗いんだから早く帰れ!』
暗いって言ったってまだ8時前だよ?
『家に着いたら連絡しろよ!』
やっぱり潤も心配性なんだなって可笑しく思ってたら
「潤くん?」
いつの間にか電話を終えたらしいニノがにまにました顔で俺のこと見てた。
「···っ!!」
またすごい恥ずかしくなって。
慌てて潤に了解のスタンプだけ送ると、スマホをしまった。
「···ってか潤からって、画面見てないのになんで分かるんだよ!」
「本当に潤くんからなんだ?」
「なっ···」
もしかしてカマかけただけだったのか?
まんまと引っ掛かっちゃったじゃん!