第9章 夏休み3
「何が違うの?」
「あれは潤の作戦っていうか···」
「作戦?」
ニノがなにそれって首をかしげる。
「俺のことからかってただけっていうか」
「よく分かんないけど、からかってはないでしょ。潤くんも楽しそうではあったけど」
「だからそれは俺をからかって楽しんでたってことだろ?」
「見ててそんな感じしなかったよ?それに潤くんそんな意地悪じゃないと思うけど」
確かに、潤はそんな性格悪くない···と思う。
でも···じゃあなんで潤はあんなに楽しそうだったんだ?
「潤くんと手繋いでるときの智すっごい可愛かったよ?流れるプールのときも」
よく分からないまま話が変わるけど、やっぱりニノの言ってることが分からない。
てか、なんかニノも楽しそうだな。
「俺が可愛いわけないだろ···それどころかなんかワケわかんなくなって嫌な態度取っちゃったし」
「嫌な態度って?」
「目合わせれなかったり、潤の顔見れなくて思い切り顔背けちゃったりさ···」
「なんで?」
「分かんない。ドキドキして分かんなかった」
興味津々な顔で聞いてたニノの目がキラリと光った気がした。
「潤くんと手繋いでドキドキしたの?」
「······うん」
「それで動揺したの?」
「······うん」
そっかそっかって頷くニノはやっぱり楽しそうで。
「なに?なんでそんな楽しそうなの?」
聞いてもニコニコするだけで答えてくれない。
「潤くんと手繋いで嬉しかった?」
「···嬉しくない。とにかく恥ずかしくて、ワケわかんなくなってさ。自分の感情が分かんなくて嫌だった。こんなん今までなかったから···」
「うん」
「ニノとなら手繋いだって、こうやってぎゅーってしたって平気なのに」
目の前にいるニノをもう一度抱き締める。
うん、やっぱり大丈夫。
恥ずかしくないし、ワケわかんなくもならない。むしろ安心する。