第9章 夏休み3
ーOsideー
今日も翔くんがニノを家まで送りたいと言い張ったけど、やっぱりニノが申し訳ないからって遠慮して。
押し問答になってたから、俺がちゃんと送るからって2人がかりで説得したんだけど。
そしたらなんでか、雅紀が居ないから智も危ないんじゃないかって潤まで言い出して。
危うく俺まで潤に送られそうになって焦った。
いやいや、俺は大丈夫だし!
今日はそこまで遅くないからって何とか押しきったけど。
実は潤も心配性なのかな?
とりあえず、ニノが遠慮する気持ちはよく分かったわ。
潤と翔くんと別れてニノと2人の帰り道。
「楽しかったね~♪」
ニノはご機嫌だ。
「うん···」
俺も楽しかったは楽しかったんだけどさ。
なんか潤のせいで無駄に疲れてる。
あの後はニノたちとずっと一緒だったから、もう手を繋ぐことはなかったんだけど。
潤のこと変に意識しちゃうし、ニノの視線も気になるしで···疲れた。
でも俺の疲れに気付かないニノは
「雅紀も来れたら良かったのにね」
ぽつりと呟いた。
本当に残念そうに雅紀の名前を出すから、なんかほっこりした。
「そうだね」
ニノはなんだかんだ言ってもちゃんと雅紀のことが大好きで。
口では可愛くないこと言ってたけど、今日一緒に来れなかったことやっぱり気にしてたんだな。
「それ雅紀に直接言ってあげなよ、喜ぶから」
「絶対やだ」
······うん。
まぁ、それがニノだよね。
後でこっそり俺から伝えとこう。
でも今日雅紀も来てたら、もしかしたら雅紀はキツかったかもしれないな。
だってニノと翔くんさ···
「今日はいつにも増してラブラブだったねぇ」
つい口に出してしまったら、ニノはキョトンとした顔をした。
「なに言ってんの?ラブラブとかじゃないし」
いやいや!
なに言ってんのはこっちのセリフだよ!
「朝から別れる直前まで翔くんと1日中手繋いでたじゃん」
それがラブラブじゃないならなんなの?
「うん、翔ちゃん心配性だからね。俺も翔ちゃんの髪の毛心配だし」
「は?髪の毛?なんの話?」
ニノは楽しそうに笑ってるけど、俺にはなに言ってんだか本当に分かんないんだけど。