第9章 夏休み3
その瞬間、潤が傷付いた顔したのが目の端に見えた。
しまった···
でも、ものすごい感じが悪いって分かっててもどうしても恥ずかしくて。
「智そんなに俺のこと嫌なの?」
「だから嫌じゃないって」
悲しそうに聞かれたからすぐ否定するけど、やっぱり顔が見れない。
「じゃあこっち向けよ!」
「無理」
「何でだよ!」
「恥ずかしいんだって!!俺は潤とちがって、こういうの慣れてないんだよ」
苛立ったような声でしつこく聞かれて、つい本音をぶつけてしまった。
こんな理由、バカにされるかと思ったのに
「ニノとはしてんじゃん」
潤はちょっと拗ねたように呟いた。
「···え?」
その声にやっと潤の方へ視線を戻すと、ふてくされたような顔してる。
「ニノとはもっとくっついたり···いつもベタベタしてんだろ」
「何それ。ヤキモチ?」
冗談半分に言ってみただけなのに、潤の顔がカッと赤くなって。
思わぬ反応に、俺までつられて赤くなってしまった。
潤は黙り込んで何も言ってくれないし。
なんとなく気まずくなって視線を泳がせたら、いつの間にかこちらを見ていたニノとばっちり目が合った。
俺たちの顔を見比べたニノがそれはそれは嬉しそうな顔をしたから、ますます恥ずかしくなった。