第8章 夏休み2
ーNsideー
翔ちゃんと手を繋いで歩く。
正確には手を掴まれて引っ張られてる。
ドキドキするけど···
翔ちゃんが態度でも離れないよって示してくれてるんだって思ったら嬉しくて。
掴まれた手をそっと握り返してみたら、グッと翔ちゃんに引き寄せられて隣に並んだ。
腕までぴったりくっついて、暑いけどそれ以上に幸せだった。
お姉さんたちのテントにはすぐ着いてしまって。
早めに手を離したつもりだったけど、しっかり見られてたみたい。
ちょっと冷やかされて恥ずかしかった。
でも翔ちゃんは「もうカズを1人にしたくないので」なんて堂々としていて。
お姉さんたちに“ごちそうさま”ってまたからかわれたけど、その目はとっても優しかった。
「ニノくん体調悪くなってない?」
「お酒飲ませちゃってごめんね」
お姉さんたちは責任を感じちゃってたみたい。
みんな何にも悪くないのに。
翔ちゃんと同じ、自分を責める顔してる。
俺が未成年の子どもで、お姉さんたちは大人だから、何かあったら悪いのはお姉さんたちになっちゃう。
でもお姉さんたちはそういうんじゃなくて、純粋に俺のこと心配してくれてた。
本当に申し訳ない気持ちになる。
「俺が勝手に間違えて飲んじゃったの。迷惑掛けてごめんなさい。さっきは眠かったけど、もう全然なんともないよ」
お姉さんたちは俺をじっと見て、本当に何ともなくて元気なのを確認するとやっと安心した顔をした。