第8章 夏休み2
ーOsideー
一泳ぎしてテントに戻ったら、目覚めてすっかり機嫌の良くなったニノがいた。
あんなに落ち込んでたのに、翔くんすごいな。
「ニノ」
声を掛けるとニノは弾かれたように顔を上げて
「智っ!」
飛び掛かるように抱き付いてきた。
危うく転びそうになるのを何とか踏ん張って受け止める。
「心配かけてごめんね···怒ってる?」
叱られた子犬みたいな顔して、上目遣いで俺の様子を伺ってる。
もう!そんな顔してずるいんだから!
でも今日は負けない。
「怒ってる!急にいなくなって!どれだけ心配したと思ってるの!」
モチモチのほっぺをぎゅっとつねってやる。
そうしたら、反対側のほっぺにも手が伸びてきて
「本当だよ!心配かけやがって!」
雅紀もぎゅっとつねった。
「いひゃい···」
「反省してる?」
「してる···」
手を離すと、ニノは赤くなったほっぺを擦りながら目をウルウルさせた。
「本当に本当に心配したんだからね!俺だけじゃなくて、みんな心配してたんだからね!」
「風ぽんも一緒に探してくれたんだぞ」
「うん···ごめんなさい···」
「もうやめてよね!」
「うん···もうしない」
今度は潤がニノの頭をわしっと掴んだ。
「ニノ!アメちゃんもらっても知らない人についていくなって言われてただろ!」
「···はい」
「今回はいい人たちだったから良かったものの、そんなの結果論だからな!」
「···ごめんなさい」
潤だって心配してたんだ。
みんな本当にニノのこと心配してたんだよ。
きっと翔くんは怒ってないだろうから、その分みんなに怒られて反省しろ!
そう思ったのに、シュンと項垂れたニノを見てたら可哀想になっちゃって。
今度は俺がぎゅーっと抱きしめた。
「何もなくて本当に良かったよ」
「うん···ごめんね···ありがと」
俺も翔くんに負けず劣らずニノに甘いよなぁ。