第8章 夏休み2
ーNsideー
なんだかフワフワしてる。
誰かに撫でられてる?
優しい手つきが少しくすぐったい。
でも気持ちいい···
気持ちいいから目を開けたくないな。
もう少し、このまま···
フワフワの中で微睡んでいたら
「カズ···」
名前を呼ばれた気がした。
翔ちゃんの声?
切ない響きが気になって、重たい瞼を頑張って持ち上げる。
「カズ!」
今度ははっきり翔ちゃんの声が聞こえた。
「翔ちゃん···?」
ぼんやりしていた視界が晴れてきたら、心配顔の翔ちゃんと至近距離で目が合ってびっくりした。
フワフワもどっかに飛んでって一気に目が覚める。
「···え?あれ?」
目は覚めたけど、状況が飲み込めない。
俺、翔ちゃんに膝枕されてる!?
なんで?なんで?
「カズ、大丈夫?起きれる?」
びっくりして動けない俺を、翔ちゃんがそっと抱き起こしてくれた。
「頭痛かったり、気持ち悪かったりしない?」
色々分からないけれど、とりあえず聞かれたことについて考える。
うん、どこも痛くない。
体は何ともない。
「しない···大丈夫···」
「そっか、良かった」
ずっと心配そうにしていた翔ちゃんが、安心したように息を吐いた。
ここ、バスケ部のテントだ···
周りを見回して気付く。
でも誰もいない。翔ちゃんと2人だけ。
俺、お姉さんたちとご飯食べてなかったっけ?
なんでここで寝てたんだろう?
お姉さんたちは?
記憶が曖昧で、首を捻るしかない。