第8章 夏休み2
「重いだろ?手伝うぜ?」
どんなにニノが華奢でも意識のない人間は重いだろうと思って。
手を貸そうとしたんだけど
「いや、大丈夫。ありがとう」
翔にやんわり断わられた。
ニノを誰にも触らせたくないんだと分かったから、それ以上は何も言わなかった。
「それにしても、なんで俺がカズを好きなことバレてたんだろ?」
歩きながら翔が首を捻る。
まぁ、ニノが色々喋ったのもあるだろうけど。
そうじゃなくてもお前の態度見てれば分かるって。
テントに戻ると、雅紀と風間が待っていた。
心配していたんだろう。
俺たちを見るなり飛んできた。
翔に抱かれたニノを見て安心と心配が混ざった表情になる。
「ニノ見つかったんだね!」
「どうしたの?意識がないの?」
「寝てるだけだから、大丈夫」
翔はニノを寝かせると、自分の膝にニノの頭を乗せた。
「ごめん···カズには俺がついてるから、みんな泳いできていいよ。荷物も見てるから」
翔はそう言いながら、ニノの髪をすくように頭を撫でる。
ニノを見る目から、触れる手から、愛しさが溢れている。
「分かった。よろしくな」
少し2人にしてやろうと、みんなでテントから出る。
のんびり海に向かいながら、雅紀たちに簡単にニノの状況を説明した。
「とにかく何にもなくて安心したよ」
「もう、人騒がせなんだから!」
話を聞くと風間はホッとしたように笑い、雅紀は怒ったように文句を言った。
それでも顔には安堵の表情が浮かんでいる。
「本当だよ!ニノったら!」
智まで珍しく少し怒ってる。
それだけ心配してたんだよな。
「後で怒ってやろうぜ」
智の頭をわしゃわしゃと撫でる。
やめてよーと言いつつ、智はされるままで。
「頭ボサボサ」
「潤がやったんでしょ!」
笑ったらむくれた智に追いかけられて、そのまま海に飛び込んだ。