第8章 夏休み2
ーSsideー
「あぁ、しつこかった···」
思わず大きなため息がこぼれる。
全く引いてくれない女の子たちに絡まれて困っていたけど、バスケ部のみんなが助けてくれてなんとか逃げることが出来た。
無駄に疲れた···
なんで嫌がってるのに分かってくれないんだろうか。
断っても次々やって来るし。
気付いたらカズがいなくなってて、更にため息が出る。
「モテる男は辛いね」
潤がからかうように言うから睨んでしまう。
「お前が目立つからだろ!」
「いや、お前も目立ってるから」
「2人揃うと更に目立つよね」
雅紀にまで笑われて
「お前も絡まれてたじゃん」
「助けてあげようと思ったんだけどね~」
つい言い返したら、雅紀は苦笑いした。
雅紀だって爽やかなイケメンだから、そりゃほっとかれないよな。
「カズがいなくなっちゃったじゃん」
「それは俺のせいじゃない」
潤に八つ当たりしたら、呆れられた。
「お前が寄ってくる子たちイチイチ相手して、ニノのこと放っとくからだろ?あんなの適当に無視しとけばいいのにさ」
潤の言うことは正しいんだろう。
でも相手は女の子だしさ、冷たくするのは可哀想な気がしちゃうんだよ。
「翔が優しいのは知ってるけど。どうでもいい子たちに優しさ振りまいて、大切な人放ったらかしってどうかと思うよ」
潤の言うことが尤もすぎて、ぐうの音も出ない。
「櫻井くん!」
軽く落ち込んでいたら、助けに来てくれた風間が近付いてきた。
「風間···助けてくれてありがとう。しつこくて困ってたから助かったよ」
「いや、そんなの気にしないでよ。それよりさ、二宮くんが何だか元気がなくて···テントに戻ってるから様子見に行ってあげて?」
「カズが?分かった!ありがとう!」
お礼を言って、慌ててテントへ走る。
カズ、さっきまで元気だったのにどうしたんだろう?
暑くて体調悪くなったんだろうか?