第8章 夏休み2
「やだー、少女マンガみたい!」
「そんなこと本当にあるのね!」
「それは好きになっちゃうよ!」
「それでそれで?」
テンションの上がったお姉さんたちに聞かれるまま、気付いたら翔ちゃんと仲良くなったキッカケから今日のモヤモヤしたことまで洗いざらいぶちまけてて。
「それで出てきちゃったの?」
「ニノくんの気持ちも分かるけど···」
「みんな心配してるよ?」
「送ってあげるからそろそろ戻ろ?」
全部聞いたお姉さんたちは優しい顔でみんなのところに戻るように言ってくれたけど
「やだ···」
何だか涙が出てきた。
「しょおちゃんがおんなのこといるのみたくない」
「ニノくん···」
「おんなのこかわいいもん···かてないもん」
「ニノくんも可愛いわよ」
「うぇぇ···」
「ほら、泣かないの」
タオルで顔をごしごし拭かれて、ヨシヨシされてたら、今度はものすごい眠くなってきた。
「え?眠くなっちゃった?」
「うん···なんか、すごいねむい···」
瞼が落ちてくる。
「あっ!ニノくんコップ間違えてる!」
「えっ!?お酒飲んじゃった?」
「弱いのだし、ちょっとだと思うけど···」
お酒?さっき飲んだやつ?
ジュースじゃなかったんだ···
だからこんなにフワフワするの?
「ニノくん!大丈夫?!」
大丈夫···ただ眠いだけ···
お姉さんの焦った声に返事をしたいのに、言葉になったかは分からない。
そこで俺の意識はストンと途絶えた。