第8章 夏休み2
闇雲にテントを飛び出したけど行くアテなんてなくて。
ただぼんやりと歩いてたら、軽そうな男たちに捕まった。
一緒に遊ぼうって。
俺、男なんだけど···見たら分かるでしょ?
ナンパなのかなんなのか分からないけど、遊ぶわけないじゃん。
当然断ったんだけど何故だかしつこい。
無視してたら腕を掴まれて。
ぞわっと鳥肌がたった。
気持ち悪い···怖い···
助けて、翔ちゃん!!
とっさに心の中で翔ちゃんに助けを求めてしまうけど、そんな都合よく翔ちゃんが現れるはずなくて。
当たり前だよ。
翔ちゃんはきっとまだ女の子たちと居るし。
考えただけで胸がきゅっとしたけど、今考えるべきなのは目の前の問題だ。
いつまでも翔ちゃんに頼ってちゃダメだよ。
自分で何とかしなきゃ。
「離してっ」
逃れようともがくけど、俺を捕まえてる男はニヤニヤ笑うばっかで手を離してくれない。
「ちょっと!」
男たちと揉み合っていたら、凛とした声が響いた。
驚いてそちらを向いたら、声の主は偶然通りかかったらしい綺麗なお姉さんたちだった。
俺に絡む男たちを厳しい目で見てる。
「何してるの?」
睨まれた相手は明らかに怯んだ。
美人が凄むと迫力あるな···
怖いけど、なんかすごいかっこいい。
「私たちの連れに手出さないでくれる?」
お姉さんたちは見ず知らずなのに男たちの手を払うと俺のこと引き寄せてくれて。
迫力に押されたのか、しつこかった男たちはあっさり引き下がっていなくなった。
ホッと安心したら体の力が抜けた。