第8章 夏休み2
みんなでさんざんはしゃいで。
ちょっと前まであんなに楽しそうだったのに。
ニノの機嫌がすこぶる悪くなった。
原因は目の前の光景。
翔くんと潤が女の子たちに迫られてる。
2人ともあからさまに迷惑だって顔してるのに、相手がしつこくて引かないんだ。
見かねた雅紀が割って入ったけど、雅紀まで絡まれてる。
雅紀もカッコいいもんね。
イケメンも大変だ。
みんなで遊んでいたら、翔くんと潤が女の子に声を掛けられて。
断ってもしばらくすると次が来るもんだから、最初は笑って見てたニノも次第に顔がひきつっていって。
今は般若みたいになってる。
しばらく黙って睨むように見てたけど、そのうち翔くんたちに声も掛けずに海からあがってしまった。
翔くんは女の子を振り払うことに気を取られていて気付いた様子はない。
ニノの後を追うと、テントの中で膝を抱えて顔を伏せていた。
「ニノちゃんどうしたの?」
「大丈夫?」
「体調悪い?」
明らかに元気のなくなったニノを心配して、近くにいたみんながあれこれ声を掛けてくれるけど、ニノは首を振るだけで顔を上げもしない。
「俺のことなんて気にしないでいいよ」
そんなこと言われたって、こんなニノを放ってはおけないでしょ。
何人かがテントを出ていった。
翔くんを呼びに行ってくれたのかも。
「ニノ···そんなに嫌だったの?」
「ううん」
やっと顔を上げたと思ったらニノは泣きそうな顔をしていて。
てっきり拗ねてるか怒ってるかだと思ってたから驚いた。