第8章 夏休み2
「一度に全員入る訳じゃないし。そもそもお前らは外でいいだろ」
ひでー!と騒ぐやつらを無視して先輩がニノににっこり笑いかける。
「ニノちゃんは暑かったら無理しないで中で休んでね」
「俺そんなにか弱くないし」
名指しされたニノが少し膨れる。
でもニノは倒れかけた前科ありだから説得力ないよ。
「まーまー、中入ってみて」
先輩はむくれるニノをさらりと流し···
というか、ほっぺた膨らませた可愛い顔にちょっとデレながら、中に入るよう勧める。
「···あ、涼しい!なんで?」
「そういうテントなんだって」
「えー、不思議ー!」
しぶしぶ入ったニノは驚いた声を上げると、智も引っ張りこんだ。
2人ですごいすごいとはしゃぐ様子は女子みたいだ。
「荷物は交代で見よう。大ちゃんたちは先に遊んできていいよ」
「いいの?」
「行っておいで」
みんなニコニコ頷いてる。
もう!ニノと智に甘いんだから!
いつの間にかちゃん付けで呼んでるし。
でも素直に喜ぶ姿は本当に可愛い。
なんかズルいよな~!
「ありがと!ニノ行こっ!」
「わっ、さとっ、引っ張らないでよ~」
智がニノの手を引っ張って走り出す。
「松本たちも行っていいよ。あの2人だけにするの心配でしょ?」
「すみません!ありがとうございます!」
先輩の言葉に翔くんたちはペコリと頭を下げると、走ってニノたちを追い掛けて行った。
海に向かう4人を羨ましく見送りながら、俺はおとなしく荷物番ジャンケンに参加した。