第8章 夏休み2
安心したところで今度は日焼け止めを取り出して、カズの顔に塗る。
「今度は何?」
「日焼け止め。カズすぐに赤くなっちゃうからね」
白いからすぐ赤くなって痛そうなんだよな。
せっかく綺麗な肌なんだから、なるべく焼けないようにしてあげたい。
それも本当なんだよ。
カズはおとなしくされるままにしていたが、塗り終わると俺の手から日焼け止めを奪って行った。
「翔ちゃんにも塗ってあげる」
小さな丸い手で背中に塗り広げてくれる。
「ふふっ」
なんだかくすぐったい。
「もう!笑ってないで前は自分で塗ってね」
「はいはい」
「“はい”は1回でいいの!」
「はーい」
なんてことないやり取りが楽しくて、クスクス笑い合った。
「翔ちゃん細いのにしっかり筋肉ついてる」
「そう?」
カズは日焼け止めを塗りながら、確認するように俺の背中や腕をペタペタ触っている。
「いいなぁ、俺も鍛えたら翔ちゃんみたいになれるかなぁ」
「カズは今のままでいいよ」
「なんで?」
細いけど柔らかくて、抱き締めたときにふわふわしてて気持ちいいから。
···とは、さすがに言えない。
「可愛いから」
「もうっ、翔ちゃんはすぐそういうこと言うんだから」
ペシッと背中を叩かれた。
力が入ってないから全然痛くないけど。
ちらっと確認したら、カズの顔はまた赤くなっていた。
「だって本当に可愛いから仕方ない」
「もう」
照れたように笑うカズは本当に可愛かった。