第7章 夏休み 1
「はぁっ、疲れたっ」
試合が終わって戻ってきた翔ちゃんは疲れたって口では言うけど、楽しそうに笑ってた。
「お疲れさま」
飲み物を手渡して、タオルで額の汗を拭ってあげる。
「ありがとう」
翔ちゃんは汗をかいてても爽やかだ。
「翔ちゃんすごかったね!」
「本当?最近あんまり運動してなかったから体が鈍ってたよ」
「そんなことないよ!すっごくすっごくすっごくカッコ良かったもん!」
「カズにそう言ってもらえると嬉しいな」
照れたように笑ってるけど、本当だよ?
本当に翔ちゃんが誰よりもカッコ良かった。
「カズは体調悪くなってない?」
「うん、大丈夫」
「まだちょっと顔が赤いね」
そっと頬に手を伸ばされる。
そのままじっと見つめられて、せっかく落ち着いていた心臓がまたドキドキしてしまう。
もう本当に大丈夫なのに、そんなことされたら余計に赤くなっちゃうよ。
「無理しちゃダメだよ?辛かったらちゃんと言ってね」
「本当に大丈夫だよ」
「うん···でも今日はもう帰ろうか」
「翔ちゃんすごく楽しそうだったのに···もういいの?」
「バスケよりカズが大事だからね」
翔ちゃんは何の気なしに言ってるんだろうけど、心臓に悪いんだってば!
ぼんっと更に顔が赤くなったのが分かった。
「ほら、やっぱり顔が赤い」
もう!翔ちゃんは心配顔してるけど。
これは翔ちゃんのせいだってば!