第7章 夏休み 1
ーNsideー
翔ちゃんがカッコ良すぎて胸が苦しい。
バスケは苦手だって言ってたのに、全然バスケ部員に負けてないの。
ヒョイってゴールを決めては、嬉しそうに潤くんや智とハイタッチしてる。
いいなぁ···
あそこに俺も居たかった。
あの無邪気な笑顔を間近で見たかったのに。
体力のない自分が情けない。
ちょっと準備運動しただけでクラクラしちゃって、試合どころじゃなかった。
雅紀たちバスケ部員は当然かもだけど、翔ちゃんも潤くんも、智だって元気に動けてるのにな。
思わずため息がこぼれる。
ふと視線を感じて顔を上げたら、翔ちゃんが心配そうにこっちを見ていた。
いけない!また心配させちゃう!
急いで笑顔を作って手を振ると、手を振り返してくれて安心したように試合に戻っていった。
ダメダメ、これ以上翔ちゃんに心配掛けないようにしないと。
気持ちを切り替えて、また翔ちゃんの応援に集中する。
それにしてもバスケをする翔ちゃんは本当にカッコ良いな。
カッコ良くて、優しくて、本当に王子さまみたいな人。
さっきも俺の異変にすぐ気付いて抱き抱えてくれてさ···
·········あれ?
さっきはクラクラしててよく分からなかったけど、実はすごいことされたんじゃない?
あれ、俗に言う“お姫さま抱っこ”じゃないの?
かーっと顔が熱くなる。
王子さまに抱っこされるなんて、俺本当にお姫さまじゃん···
いや、何バカなこと考えてんだ!
翔ちゃんは心配して人助けとして運んでくれただけなんだから。
過剰反応すんな、俺!
少し落ち着こうと深呼吸してみたけど、胸のドキドキはなかなか収まらなかった。