第7章 夏休み 1
「潤くんが智の絵を好きって言ったとき、智真っ赤だったよ?俺が好きって言ってもそんな風になったことないじゃん」
俺赤くなってたんだ。
「だから俺、2人に何かあって智が潤くんのこと好きになったのかと思ったの」
「はぁぁ?!」
一体何を言い出すんだよ!
俺が潤のこと好き?
俺はニノが好きなんだけど!
···恋愛感情かは分からないけど。
潤を好きだなんて思ったことないよ。
良いやつだとは思う。
人間としては好きだと思う。
でもニノの言う好きってそういう意味じゃないだろ。
確かにさっきちょっとドキドキしたけどさ。
···それは内緒にしておこう。
「別に何にもないし、潤を好きになってもいない」
「えー」
キッパリ否定したけど、ニノは不満顔だ。
納得してないっぽい。
「なんで不満そうなんだよ」
自分の予想がハズレて悔しいのか?
「だってさ···もし智もそうならさ、同じ気持ち共有出来るかなって思ったんだもん」
「え?」
「片想い仲間みたいな?」
「何それ?」
そんなの欲しいと思ってたの?
ていうかニノは片想いじゃないでしょ。
「片想い仲間じゃなくても、いつでも話は聞くし、応援だってしてるよ?」
別に俺に好きな人がいようといまいと、俺はいつだってニノの味方なのに。
「うん、ありがと······俺もね、智が片想いしてるなら応援したかったんだよ」
ニノは少し恥ずかしそうにそう言った。
ああ、ニノも俺と同じ気持ちなんだ。
分かったら胸があったかくなった。
「ありがとう」
にっこり笑ったら、ニノも笑って。
可愛い笑顔に、やっぱりニノのこと好きだなぁなんて思ったのに
「でもなぁ···本当に潤くんのこと何とも思ってないの?」
ニノはまだブツブツ言ってる。
「思ってないってば。なんでそんなにしつこいんだよ」
「だって潤くんだってさ···」
ニノが何か言い掛けたとき
「ニノ!智!こんなとこで何してんの?」
雅紀の馬鹿デカイ声が響いた。