第7章 夏休み 1
ーSsideー
智くんが今日はもうおしまいにするって言うから、みんなで帰ることにした。
「カズ明日も今日と同じ時間で大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
カズは俺と会話しつつ、何となく前を歩く潤と智くんを気にしてるように見えた。
「智、明日も学校?」
「うん」
「また見に行ってもいい?」
「明日も来るの?」
「ダメなの?」
「ダメじゃないけど···」
つられるように俺も意識をそちらに向けると、そんな会話が聞こえてくる。
カズは2人のやり取りを面白そうに見ていたけど、智くんが口ごもったタイミングで口を挟んだ。
「いいじゃん、智。俺たちもまた顔出しに行くね」
ね、翔ちゃんって急に俺に振られて、反射的に頷いてしまった。
いや、俺は全然構わないんだけどね。
「いいけど···でも潤ただ見てたって楽しくないでしょ?」
何だか智くん困っているような···
気のせいかな?
「いや、今日楽しかったし」
潤がにっこり笑うと、智くんは黙ってしまった。
そんなことを話していたら、すぐに公園に着いてしまって
「じゃあまた明日な!行こうぜ、翔」
潤はカズと智くんに手を上げるとさっさと駅に向かおうとする。
俺はそんなすぐには帰れないんだよ。
「カズまた明日ね」
「うん、また明日ね」
カズとバイバイして、いつもみたいに家に入るのを見届けようとしたら
「智と一緒だから大丈夫だよ?潤くん待ってるから行って?」
いつもと逆にカズが見送ってくれた。
少し歩いて振り返ると、まだ公園の前でこっちを見てくれている。
嬉しくなって手を振ると、笑顔で振り返してくれた。
可愛い!
見送られるのもたまにはいいかも。
姿が見えなくなるまで何回か繰り返していたら、潤が溜め息をついた。
「なんだよ?」
「いや、仲良いなって思って」
また呆れられたのかと思ったが、ちょっと違う感じがした。
俺が不思議そうな顔をしていたのだろうか。
「羨ましいなって思ったんだよ」
何も聞いてないのに、潤はそう言った。
···羨ましい?