第7章 夏休み 1
ーSsideー
「既読にならない」
カズがスマホを見て口を尖らせた。
昼に智くんにLINEをしたのに返事がないらしい。
「智のことだから、寝てるか、絵に集中してるかどっちかだと思うんだけど」
「その二択なの?」
「うん」
「ふふっ」
それ以外はないもんって言い切るのがおかしかった。
「試しに美術室行ってみる?」
「いいの?」
「もちろん」
夏休みだから図書館が閉まるのが早くて。
まだ夏休みも始まったばかりだから、宿題もそんなに必死になる必要ないからいいんだけど。
もう少し一緒に居たいな、なんて思ってた。
だから全然問題ない。
「まだ暑いね」
「今年は猛暑らしいよ」
「やだな~」
他愛もない話をしながら美術室へ行くと、そこには智くんと、なぜか潤までいた。
「あれ?ニノ、翔くん···どしたの?」
「もう!智スマホ見てないでしょ!」
「え?何か用だった?」
「学校に来てるか聞いたの!」
「ごめんごめん、集中してたんだよ~」
プンプン文句を言うカズに智くんが笑って謝ってる。
カズの予想通りだったらしい。
「潤も来てたんだな」
「智が連絡くれたから絵を見に来たんだ」
潤が指したのはまだ描きかけっぽいキャンバス。
「すごいな···」
「何描いてるんだか分かる?」
残念ながら俺には綺麗だと言うことしか分からない。
「······分からない」
「良かった。俺も分からなかったんだ」
正直に答えたら、潤が安心したように笑った。