第6章 終業式
ーOsideー
先生にもらったお菓子をみんなで食べながらの帰り道。
「ねぇ、夏休みはどう過ごすの?」
翔くんが誰にともなく質問する。
これ、本当に聞きたいのはニノの予定だけなんじゃないのかな。
そんな考えはちょっと意地悪かな。
「俺は部活と短期バイト···っていっても親戚の店の手伝いだけどね」
「俺も部活かな」
雅紀に続いて俺が答えると、潤が不思議そうな顔をした。
「前から思ってたんだけど、美術部ってそんな忙しいの?ほとんど毎日じゃなかった?」
「あー、別に忙しくはないよ。活動は基本自由だし。俺が絵を描きたいから描いてるだけ」
別に家でも描けるけど、学校のが広いしね。
色々考えるとやっぱり美術室のが描きやすい。
「智はすごいんだよ!すっごい上手いの!」
何故かニノが翔くんと潤に自慢してる。
「中学の時なんか大きい賞もらってたよね」
雅紀まで···
「へぇ、すごいね!」
「智の絵見たいな」
翔くんも潤もやたら感心してくれて、なんか恥ずかしい。
「そんな大したもんじゃないよ」
「夏休み毎日学校来んの?」
「出来るだけね。作品展に出す予定だから」
「俺見に行ってもいい?」
何故か潤が興味津々だ。
「いいけど、見ても面白くないよ?」
「いーからいーから」
学校来る時は教えてよ、なんて押しきられてしまった。