第6章 終業式
なんとなく翔の雰囲気にのまれて沈黙に包まれていたら
「お待たせー!」
ニノと智が戻って来た。
とたんにふわっと空気が明るくなる。
「おかえり」
見れば何故か2人して両手にお菓子を持っている。
「何それ?」
「先生がお駄賃にくれた」
「ねー」
「あ、でもみんなには内緒だぞって言われたんだった」
「だからないしょね」
ニノと智は楽しそうに笑いながら、お菓子を机に並べてキャッキャしてる。
「俺どんな面倒なこと頼まれてもそんなの貰ったことないけど」
「俺も」
思わず翔と顔を見合わせてしまった。
「そうなの?」
「今日終業式だからかな?」
ニノも智もキョトンとしてるけど、なんで終業式だとお菓子もらえんだよ。
「この子たち、よく色んな人から食べ物もらうんだよ」
雅紀が苦笑いしてる。
そういや、購買のおばちゃんからもよくオマケもらうって言ってたな。
「カズ、飴ちゃんもらっても知らない人に付いてっちゃダメだよ」
翔が真顔でニノに忠告してた。
母親と幼児か!
「あはは!付いてかないよ~」
ケラケラ笑うニノはいつも通りに見える。
心配しすぎかな。