第6章 終業式
ーMsideー
放課後の人の少ない教室。
終業式も終わって、さて帰るかってところでニノと智が担任に捕まった。
2人が雑用を頼まれたから、翔と雅紀と待ってるところだ。
翔もついていきたそうにしていたが、ニノ1人じゃなくて智が一緒だったからおとなしく待ってる。
「翔くんさー、朝から教室でニノと抱き合ってたんだって?」
突然雅紀に話を振られて、翔が飲んでいた水を噴き出した。
「ゲホッ···なっ···なんで···ケホッ」
「わっ、汚なっ!ちょっと大丈夫?」
むせる翔の背中を雅紀が擦ってやる。
翔は慌てて周りを拭きながら、真っ赤になってるけどさ。
もうみんな知ってるから。
朝のうちに噂になってたから。
相変わらず自分たちが目立つという自覚が薄い。
なんならニノとのこと全校生徒に見守られてるからな。
「やっと告白でもしたか?」
まぁ、そんなんしなくても、もう付き合ってるみたいなもんだけど。
「やっとって何だよ!してないよっ!」
「してないのかよ···」
「じゃあ何で抱き合ってたのさ?」
雅紀の疑問はもっともだ。
告白してない、付き合ってもないのに、普通男同士で抱き合わねーだろ。
「え···うん···」
翔は言葉に詰まって言い淀む。
「いや···その···友情の確認?」
「はぁ?友情?」
なんで今さらそんなもの確認してんの?
てか、自分でも疑問形になっちゃってるじゃん。
翔はそれ以上は何も答えない。
もしかして···
またニノに何かあったか?
そういや、朝会ったときニノの目が少し赤かった気がする。
これだけ翔がべったり張り付いてるから、誰もそうそう変なことは出来ないとは思うけど。