第6章 終業式
「翔ちゃん“しばらく”って言ってたもん···だから丸山くん居なくなったら、もう側にいちゃダメなんじゃないかって···思って···」
え?俺そんなこと言った?
記憶を辿る。
············言った、確かに言ったわ。
カズと友だちになったばっかで、しかもあんなことがあった直後で。
弱っているカズにつけこむみたいな後ろめたさもあったし、いきなりずっと側にいてほしいなんて言ったら引かれるんじゃないかと思って。
それでしばらくって言ったんだ。
え?カズが今泣きそうなのは俺のせいなの?
泣くくらい俺と離れたくないって思ってくれたの?
たぶん丸山の手紙で情緒不安定になってるだけだろうけど。
少しは自惚れてもいい?
目に涙を浮かべたカズを抱き寄せる。
「俺たち友だちになったじゃん···俺は仲良いつもりだよ?丸山なんて関係ない···これからもずっと一緒にいようよ」
俺の胸の辺りがじんわり濡れた。
カズが泣いてる···
「これからもずっと俺がカズを守るから」
約束するから。
だから泣かないで。
お願いだから
「ずっと側にいて?」
そっと俺を見上げたカズは、目も鼻の頭も真っ赤だったけど、すごく綺麗だった。
「いる···」
まっすぐ俺を見つめる瞳から涙が一筋こぼれる。
「ずっと翔ちゃんの側にいる」
堪らない気持ちになって、カズをもう一度強く抱き締めた。
カズも背中に手をまわしてくれて。
シャツをきゅっと掴んだのが分かる。
そのままカズの涙がおさまるまで、俺たちは固く抱き合っていた。