第6章 終業式
ーSsideー
丸山がいなくなる。
正直ホッとした。
これでカズが本当に安心して過ごせる。
カズはもう何でもないフリをしていたけど、丸山を見かける度に動揺していた。
いつも心のどこかで怯えていたのを知ってる。
今でも殴ってやりたい気持ちは消えないけれど、心から反省しているみたいだし。
もう二度とカズの前に現れないならそれでいい。
手紙を読み終わったカズは安心したような顔をしたが、その後ぼんやりとしている。
何を考えているんだろう?
どこか沈んでいるように見える。
もう二度と会わないって言われたって、急に気持ちが切り替わるものではないだろうから戸惑っているのかな。
それとも他にもまだ何かカズを悩ませるものがあるんだろうか。
「カズ?」
「翔ちゃん···」
俺を見つめる瞳は潤んで不安げに揺れていて。
「どうしたの?」
「俺···まだ翔ちゃんの側にいたいよ···」
「え?」
カズの口から出た小さな呟きは、俺が想像もしていなかったものだった。
「丸山くんがいなくなっても、翔ちゃんの側にいてもいい?」
まるでもう離れなくちゃいけないと言わんばかりの口ぶりに焦る。
「何?なんで?いいに決まってる!俺はずっとカズに側にいてほしいよ?」
「···本当?」
「本当!···なんで?離れないでよ」
不安そうなカズは今にも泣き出しそうに見えるけど。
何で突然そんなことを言われるのか分からなくて、俺の方が泣きたくなってくる。