第5章 誕生祝い to Nino
ーSsideー
閉園前に出てきたけれど、もう遅い時間。
心配だから当然のようにカズを家まで送って行くつもりだったんだけど。
カズが遠慮して譲ってくれなかった。
これがカズ1人だったら何て言われたって絶対折れなかった。
だって今日のカズは可愛い女の子にしか見えないし。
そうじゃなくたって、こんな可愛い子1人で夜道を歩かせるなんて出来るわけない。
でも智くんと雅紀が送ってくれるって言うから、2人を信じて諦めることにした。
俺も家が近ければ良かったのにな、なんて。
未練がましい気持ちで遠ざかる電車を見送る。
今日は朝から晩まで本当に1日中一緒に居たから、別れが寂しく感じた。
こんなに長い時間一緒に過ごして、しかも明日も学校があるからすぐ会えるのに。
それでも寂しいって。
もっとずっと一緒に居たいって。
そう思ってしまう俺はどれだけカズのこと好きなんだろう。
自分に呆れて苦笑してしまう。
家に帰ってからもカズのことが気になって落ち着かなくて。
1人じゃないし、カズの家は駅から近いから大丈夫だって、自分に言い聞かせる。
カズからの連絡を待ちながら、気を紛らわすために新しいスタンプを買ってみたりした。
可愛いプーさんを乗せたカズを思い浮かべながら、スタンプもプーさんを選んで。
それでも全然落ち着かなくて、カズとのトーク画面を開いたままスマホを手離せずにいた。
だから無事帰宅の連絡をもらえた時は心から安心して、やっと人心地つくことが出来た。