第5章 誕生祝い to Nino
「他にもゲームあるから、そっちでリベンジしよう!」
「他にもあるの?」
「あるみたいだよ?」
また相合い傘で移動する。
翔ちゃんを濡らさないためっていう大義名分があるから、今度は最初からぎゅうっと翔ちゃんにくっついた。
「俺知らないことだらけ」
アトラクションやゲームだけじゃなくて。
歴史とかストーリーとか仕掛けとか隠れミッキーとか、翔ちゃんの知識量はとにかくすごくって。
園内を歩いてるだけでも翔ちゃんが色んなことを教えてくれるから、知ってるはずの場所なのにすごく新鮮だしすごく楽しい。
「俺も今回調べるまでそんなに知らなかったよ」
「調べてくれてありがとう」
「半分趣味みたいなものだから」
もちろん俺のためだけに調べてくれた訳じゃないだろうけど。
それでも嬉しくてお礼を言ったら、翔ちゃんは照れたようにして
「でもカズが喜んでくれて嬉しいよ」
キラキラの笑顔を向けてくれた。
同じ傘の下だからね。
本当に至近距離で。
もう俺のドキドキ翔ちゃんに聞こえてるんじゃないかな。
くっついてる部分から翔ちゃんに伝わってるんじゃないかな。
本気で心配になるくらい、俺ずっとドキドキしてるよ。
「次のはね、成功するとぬいぐるみもらえるんだって」
「本当?」
「頑張ってゲットしようね」
「うん!」
でも、この笑顔をこんな近くで独り占め出来るなら、ちょっとくらいバレてもいいや。
だって、まだ離れたくないもん。
もうちょっと、くっついていさせて···
願いを込めて翔ちゃんに捕まってる手にちょっとだけ力を込めた。