第5章 誕生祝い to Nino
ーNsideー
雨の中、翔ちゃんが向かったのは射的。
「ここ···あるのは知ってたけど、やったことないや。初めてだ」
いつも横目に見て通りすぎるだけだった。
「俺もやったことないんだ。全部命中するとピンバッチがもらえるんだって」
「よーし!」
なんて、張り切ってみたけど。
俺も翔ちゃんもなかなか当たらなくて。
2人してムキになったけど駄目で、だんだんおかしくなってきちゃって。
「あー、くそっ!」
「また外れた···ふふっ」
どちらかが外す度に笑っちゃうからますますブレて当たらない。
それでまた楽しくなっちゃって。
最後は翔ちゃんとケラケラ笑い転げてた。
自分でも何がそんなに面白いのか分からないけど。
翔ちゃんといるだけで嬉しくて楽しいから、テンションがおかしくなってるのかもしれない。
「あー、楽しかったね」
「でも悔しいなぁ、全然当たらなかった」
翔ちゃんは笑いながら悔しがってる。
「ラッキーカードも出なかったし、残念だったね」
「ねー、残念」
でもね、銃を構える翔ちゃんめちゃくちゃかっこよかったよ。
外して照れ笑いする顔は可愛くて。
そんな翔ちゃんが見れただけでも、射的やって良かったよ。