第5章 誕生祝い to Nino
潤は俺の話を聞いた後しばらく黙りこんでいたけれど、俺たちをまっすぐ見ると口を開いた。
「俺はさ、翔が好きだったんだよ」
「へっ!?」
「えっ!?」
俺と智の驚いた声がハモった。
「ふはっ···そんな驚く?」
よっぽど間抜けな顔してたのかな?
潤が吹き出した。
「いや、驚くでしょ!だって潤彼女いるよね?」
「あー···カノジョっていうか···」
何だか歯切れが悪い。
「彼女じゃないの?」
「俺、自分の気持ちなかなか認められなくてさ···まさか俺が男を好きになるわけないって」
そう思ってしまう気持ちは分かる気がする。
中学生でさ、男が好きかもって···普通すんなり受け入れられないだろ。
いや、でも智は受け入れてたんだっけ?
潤はちょっと気まずそうに視線をさ迷わせる。
「女の子と付き合ってれば、翔のことは気の迷いだって思えるかなって」
「···思えた?」
「思えなかった···翔が特別だって気付いただけ」
潤はため息をついた。
「でもさ、どんだけ好きでも伝える勇気はなかった···翔が男に興味ないの知ってたから。ずっと親友でいられればそれで良いって自分に言い聞かせて。翔にも、誰にもバレないようにずっと隠してた」
そう言って自嘲気味に笑った。
「まさか翔が男を好きになるなんてな」
俺まで苦しくなるような呟きに、聞いてみたくなった。
「告白しなかったこと後悔してる?」
「ちょっと、してるかもな···」
後悔してるんだ。
ずっと抑え込んで、告げなかった想いを。
「でも今さら言う気はないし、もし伝えてたとしてもどうにかなってたとは思わない」
潤はキッパリ言い切った。