第5章 誕生祝い to Nino
時間を掛けて2人で決めたのは、ミッキーの顔が大きくプリントされたもの。
これなら翔ちゃんが使っててもそんなに変じゃない···よね。
翔ちゃんはもっと可愛いのでもいいよって言ってくれたけど。
一応俺も男だからあんまり可愛いのはちょっと恥ずかしいよ。
お会計してすぐ2人でケースを付け替える。
翔ちゃんとおそろい···
それだけでふわふわ浮かれた気持ちになった。
外を見ると雨はだいぶ小降りになってた。
「この後どうしようか?」
雨のせいで翔ちゃんが立ててくれた予定だいぶ狂っちゃったもんね。
「智たちはどうしてるかな?」
「聞いてみる?」
智に電話して状況を聞いてみる。
「スタンバイの列に並んでるって···まだ掛かりそう」
「そっか。俺たちもまた何か乗りに行く?」
「翔ちゃんに任せるよ」
「じゃあ今度はアトラクションじゃないのに行ってみよっか」
翔ちゃんは喋りながらバッグから折り畳み傘を出すと、パッと広げた。
「行こう」
にっこり笑って俺に傘を差し出してくれる。
今度は相合い傘だよ!!
ごく自然に相合い傘!!
しかもね、俺が濡れないように傘傾けてくれてるの。
「これじゃ翔ちゃんが濡れちゃうよ」
「じゃあもう少しこっち来て」
ぐっと肩を引き寄せられてドキドキが止まらない。
翔ちゃんが風邪引かないようにだからね!
心の中で誰にだか分からない言い訳をして、翔ちゃんにぎゅっとくっついた。
お会計の時に繋いでた手が離れちゃってさ、こっそりガッカリしてたんだけど。
手を繋ぐよりも近くなった距離が嬉しくて、またふわふわした気分になる。
雨なんて大嫌いだけど今日は大好きかも。
雨に感謝しなきゃ、なんてゲンキンな自分に少し笑った。