第5章 誕生祝い to Nino
ーNsideー
キャストのお姉さんに頼んで、シンデレラ城の前で写真を撮ってもらった。
初めての翔ちゃんと2人の写真。
見るだけで笑みが溢れてしまう。
こっそり宝物にしよ。
「あとで5人でも撮りたいね」
「うん、撮ろう」
翔ちゃんとまわるディズニーランドは何もかもがキラキラして見える。
朝からずっとどんより曇ったままなのに。
元々大好きなディズニーランドだけど、翔ちゃんが一緒だともっともっと楽しい!
5人でも十分楽しかったけど。
2人きりになったらドキドキが加わった。
翔ちゃんとずっと一緒に居られて、喋って、笑って、新しい翔ちゃんも知れて。
智のくれたシールのおかげでキャストさんたちからもたくさん“おめでとう”って言ってもらえて。
照れくさいけど素直に嬉しい。
大好きな人と大好きな場所で過ごす、こんなに幸せな誕生日初めてだ。
次のアトラクションへと移動していたら、突然雨が降ってきた。
「わっ」
「カズこっち!」
けっこうな大雨で、翔ちゃんがパッと俺の手を掴んで走り出す。
手!!翔ちゃんと手繋いでる!!
そのまま近くのショップに駆け込んだ。
「今日雨予報だった?」
「曇りって言ってたけど、まぁ梅雨だしね。ちょっと雨足強いから、少し雨宿りしよっか」
手、繋いだまま···
離すタイミングが分からない。
翔ちゃんは気にした様子もなく商品を見始めたから、俺も気にしてないフリしちゃうよ?
「お土産?」
「うん、妹と弟にね。カズは?」
「俺は姉ちゃんから細かく指示されてる」
「ふふっ、迷わなくていいね」
「確かに」
店内は同じように避難してきたお客さんでちょっと混んでた。