第5章 誕生祝い to Nino
ーSsideー
「行っちゃった···」
カズが去っていった3人を呆然と見送る。
「追い掛ける?」
俺は2人でも全然いい。
でもカズが寂しいなら追い掛けよう。
出来たらコースター系は避けたいけど。
「ううん。俺ジェットコースター苦手だし」
「カズも苦手なの?」
「え?翔ちゃんも?」
バレてしまった。
いや、別に隠してた訳じゃないけど。
「俺、高所恐怖症なんだよ」
「意外···翔ちゃんにも怖いものあるんだね」
カズが目を丸くして驚いてる。
格好悪いって思われたかな···
「なんか、安心した」
「へ?」
俺の心配をよそにカズはニコッと笑った。
「翔ちゃん完璧すぎなんだもん。マイナスなところなんてないんじゃないかって思ってたから···翔ちゃんも人間なんだなぁって。なんか安心したの」
そんな風に思われてたんだ。
全然そんなことないのに。
「俺なんて全然完璧じゃないよ。完璧どころかヘタレだしさ、情けないところだらけだよ」
「ヘタレなの?」
カズは見えなーいとクフクフ笑った。
でも、ふと笑いを引っ込めると真顔になる。
「きっと俺の知らない翔ちゃんがまだまだたくさんいるんだろうな···もっと知りたいな」
そのまっすぐな視線にドキドキしてしまう。
「知ったら嫌になるかもよ?」
胸の高鳴りを誤魔化すように、わざと茶化すように言ってみたら
「ならないよ!嫌になんて絶対ならない!」
カズが力強く否定してくれて、それがすごく嬉しかった。
「ありがとう。俺もカズのこと、もっと知りたいよ?」
「うん···でも翔ちゃんも嫌にならないでね」
カズが俺の言葉をなぞるように口にする。
「ならないよ。俺も絶対嫌になんてならない」
なる訳ない。
知れば知るほど好きになるんだから。
今も嬉しそうにはにかむ姿が愛しくてたまらないんだよ。
「さ、俺たちも行こうか。こっちは予定通りでいい?」
「うん!」
弾む気持ちを隠しながら、俺たちも潤たちとは違う方向へ歩き出した。