第5章 誕生祝い to Nino
出来上がったのは自分でもちょっと引くレベルの量だった。
完全なる自己満足だっていうのは分かっているし、最優先すべきはカズの希望だ。
当日カズに確認して、乗りたいものややりたいことがたくさんあるなら、このスケジュール表は出さないつもりだった。
でも当のカズは何でもいいの一点張り。
それならばと、いそいそと力作のスケジュール表の束を取り出した。
見た瞬間のカズの驚いたような、でも嬉しそうな顔。
「ありがと、翔ちゃん」
なんて、うるうるの瞳で見つめられて。
想像の中の笑顔より、実際の笑顔は何倍も可愛くて。
俺が勝手にやったことなのに、喜んでもらえて嬉しくて一気に達成感に包まれる。
潤たちが若干引いてる気配がするが、そんなの気にしない。
カズさえ喜んでくれればそれだけで俺は幸せなんだ。
カズが目を通してくれている間に、ふと近くにいた女の子たちがキャラクターのカチューシャをしているのが目に入った。
彼女たちには悪いが、カズの方が似合うだろうなと思って想像してみる。
·········絶対可愛い!!見たい!!
誕生日プレゼントと言う口実で渡したらつけてくれないかな。
何のキャラクターが似合うだろう···
いや、可愛いから何だって似合うだろうけど。
どの案にするか決めかねたカズに声を掛けられるまで、真剣に悩んでしまった。