第5章 誕生祝い to Nino
ーMsideー
「おはよ、潤」
「おはよー」
約束の電車に乗り込むと智と雅紀に迎えられた。
「はよ」
翔とニノは···と探すと、智が目線で教えてくれた。
そちらを向くと
え···!?
一瞬、翔が女子といるのかと思った。
なんだ?
ニノがやたら可愛らしい。
「お姉ちゃんにやられたみたいだよ」
俺の疑問に気付いた智が教えてくれた。
「女の子みたいに可愛いよね」
髪型といい、服装といい、本当に女子みたいだ。
なんなら座り方までちょっと女子っぽい。
そんなニノを見る翔の顔···
「締まりのない顔してんな」
ぼそりと呟いてしまった。
「翔くんでしょ?さっきはもっとひどかったよね」
「今よりひどいって相当だな」
あははっと智と雅紀が笑う。
「あ、潤くん!おはよ」
「おはよう」
笑い声でやっと俺に気付いた2人が挨拶してくれる。
「はよ。ニノ誕生日おめでとう」
「ありがと」
はにかむ仕草も今日は女子みたいだ。
予定通り、開園前に着いた。
プレゼントとして、ニノの分のチケットは4人で出すことにした。
ニノは恐縮してたけどね、お祝いだから。
梅雨時でどんより曇ってたけど、やっぱりそこそこ混んでて。
行列に並びながら開園を待つ。
「何からまわる?」
「ニノの誕生日だから、ニノの乗りたいの乗ろうよ」
「俺何でもいいよ」
「もう、ニノはいつもそうなんだから」
何だか3人でワチャワチャ揉めてる。
「だって本当に何でもいいもん」
「俺、何パターンか考えてきたんだ」
ニノが言いきると、翔が何やらプリントした紙の束を取り出した。
見ると分刻みのスケジュールが組まれている。
「アトラクションの待ち時間は大体の予想だからこの通りにはいかないと思うけど」
「······」
あまりの細かい予定に俺も智も雅紀も無言になった。
「すごい!ありがと、翔ちゃん」
ニノだけが嬉しそうな顔して一生懸命目を通している。
「うーん、どれがいいかなぁ?翔ちゃんはどれが一番オススメ?」
「俺的にはこれなんか良いんじゃないかと思うんだけどさ」
智と雅紀と苦笑いする。
「ま、俺たちは何でもいっか」
「今日はニノが楽しければいいよね」
「だな」
2人が決めるのをおとなしく待つことにした。