第5章 誕生祝い to Nino
ーAsideー
待ち合わせ場所に走って現れたニノは、やたら可愛かった。
可愛くアレンジされた髪の毛。
お姉ちゃんの仕業みたいだけど、ニノによく似合ってる。
走ってきたからほっぺが赤くて、メイクなんてしてないのに女の子に見えた。
別に女装してるわけじゃないのに。
服装はシンプルなTシャツにデニムにカーディガン。
でもたぶん女物。
これもお姉ちゃんのだろうな。
ニノの普段着ひどいもんね。
服のシルエットがより女の子っぽく見せてるのかも。
ニノは変じゃないかやたら心配してるけど、変どころかかなり可愛い。
本物の女の子より可愛いよ。
予定通りの電車に乗り込んで、翔くんと潤に連絡する。
電車に乗ってもニノはずっとソワソワしてた。
俺たちの最寄り駅から5駅で、先に翔くんが乗ってくる。
ホームに翔くんの姿が見えた途端、ニノはパッと智の後ろに隠れた。
いつもなら駆け寄って行くのに珍しい。
ドアが開くと翔くんはすぐに近付いてきた。
「おはよう」
「おはよー」
「おはよ」
俺たちが挨拶してても、ニノは智の後ろでモジモジしている。
そんなニノに翔くんが気付かない訳なくて。
「カズ?」
不思議そうに呼び掛ける。
ニノも観念したのか、智の後ろから少しだけ顔を覗かせた。
ニノを見た瞬間の翔くんの顔!
相当びっくりしたのか目を見開いたままニノを凝視して固まってる。
ニノはニノでガン見されて恥ずかしいのか真っ赤になってモジモジしてる。
可哀想なのは間に挟まれた智で。
困った顔してたから、そっと引っ張り出してやった。
2人を遮る壁がなくなって我に返ったのか
「カズ、お誕生日おめでとう」
翔くんが蕩けそうな笑顔でニノにお祝いを言う。
「ありがと、翔ちゃん」
ニノはまだ恥ずかしそうに俯いてモジモジしてるけど、それすらも萌えるのかどんどん翔くんの顔が残念なことになっていく。
でも、まぁ気持ちは分かる。
ニノはいつだって可愛いけれど、今日は特別に可愛いもんね。
そりゃメロメロになっちゃうよね。