第5章 誕生祝い to Nino
ニヤニヤしてる姉ちゃんをキッと睨む。
「明日は学校の友だちとディズニーランドに行くの!デートのわけないでしょ!」
「ふーん。ちなみに、その中に櫻井くんは?」
「···いるけど」
姉ちゃんはやっぱりねって顔した。
「それで着てくものに悩んでるんでしょ」
うう···
全部バレてる···
でもそれなら開き直るだけだ!
「姉ちゃん何とかして!」
「あんたヨレヨレの服しか持ってないもんねぇ」
ちょっと待ってて、と姉ちゃんは部屋を出て行った。
しばらくすると何着か服を抱えて戻ってきて、あーでもないこーでもないと俺にあてて悩み出す。
どことなく楽しそうだな。
好みも希望もない俺は姉ちゃんにされるがままだ。
「これでどう?カズ細いから着れるでしょ」
姉ちゃんが選んだのはシンプルなTシャツに綺麗目のデニム、だぼっとしたカーディガン。
とりあえず着てみるけど、デニムが短い。
姉ちゃんのが背が低いから当然か。
「デニムが短いんだけど」
「ロールアップすれば大丈夫よ!」
裾をクルクル折り上げられた。
「変じゃない?」
自分じゃよく分からない。
でも俺の服を着ていくよりは何倍もマシだろう。
「大丈夫大丈夫!」
姉ちゃんはにっこり笑うと、自信たっぷりに親指を立てて見せた。