第4章 日常
集中···してたんだけどね?
キリの良いところで何気なく伸びをしたら、ニノの前髪が目に入った。
可愛らしいハートが本当に似合ってる。
ふいに髪をとめてもらってたニノの笑顔を思い出す。
翔くんにしか見せない笑顔。
内緒話してた2人の姿も。
先週はずっと2人きりで勉強してたんだよな···あんな風に寄り添いながらさ。
胸がチクリと痛くなった。
応援するって決めたよ?
ニノが幸せそうに笑ってて嬉しいよ?
本当にそう思ってる。
邪魔する気なんてサラサラないし、ニノがそういう意味で俺のこと好きになるなんて全く思わない。
でも俺はそんなに器用じゃないから。
ニノに好きな人がいるから、じゃあ俺はもう好きじゃありません···なんて
そんな簡単に気持ちを切り替えられない。
そもそもニノを好きだって気付いたのが最近だからさ。それも失恋と同時。
それで余計に気持ちの整理がつかないのかも。
俺はクラスが違うから一緒に過ごす時間は少ない。
だから良いのか悪いのか、2人のラブラブな姿を見る時間もそんなに多くない。
智に聞くと常にイチャイチャしてるみたいだし。
もっと、ずっと近くで見てたら諦めもついてこの気持ちも消えていくのかな。
智は2人が仲良くしてるの好きなんだって。
いつも微笑ましそうに優しい目で見守ってる。
智だってニノのこと好きだって言ってたのに、俺とは全然違う。
俺もそのうち智みたいになれるのかな。
そうしたら、この胸のチクチクも消えてくれるのかな。