第1章 始まり
「すすす、すみません、私あなたに危害を加える気はないので、
動いてもいいでしょうか?
さ、寒くて…町や暖の取れる場所をご、ご存知でしたら教えていただけませんか?
あなたに背を向けてそちらに向かいます。
それな、らあなたを襲える可能性は低いでしょ?」
歯がカチカチとなり始めた。
「……お前が鶴見中尉の手先だと言う可能性が拭えない限り
街に降ろすことは出来ない。
俺の居場所を伝える可能がある。」
(…………なんて警戒心の強い男なんだ!!)
仕事でだったら是非ご一緒したい、この脅威への警戒心。
きっと完成度の高い仕事をしてくれる。
しかしこの状況では御免だ。
これでは拉致が開かない。あと30分もすれば、都会育ちの貧弱なの体は寒さで動かす事が出来なくなるだろう。
段々暖かくなりたい気持ちで判断力も薄れてきた。
「別に銃で撃ってもらっても構いません!殺すなら早く殺してください!
殺さないなら暖を取らせてください!寒いのが嫌いなんです!
何でもしますから!暖かい所に行かせてください!」