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祝福と呪いと兄と

第1章 始まり


「"つるみちゅうい"と言う方は知りません。
ちゅういって、階級の"中尉"でしょうか?
でしたら尚更私は軍系の方と関わった事がないので、無関係かと思われます。」

正直に答えたが、銃は下ろしてもらえなかった。

「なぜ俺の後ろに音もなく倒れていた?
後ろから刺すなりなんなりするはずだったんじゃないのか?」

(なるほど、私はこの人の後ろに突然現れたのか
そりゃ驚くな)

「変なこと言いますが、私も何でここにいるのか分かりません。
正直な事を言いますとビルの上から飛び降り自殺したはずなのに、
急にここにいたんです。
もしかしたら自殺は妄想で、私はもう頭がおかしくなっているのかもしれません。」

男の表情が少し曇った気がした。

(ですよねー)

「とりあえず私はあなたを殺すつもりはありません。
武器を持っていませんし、服に武器を隠していたとしても、殺すなら手に持ってるはずでしょ?」

と、いって手のひらを見せる。

しかし男はまだ黙って考えているようだった。

(銃殺…されるのは考えた事なかったけど、あっさり死ねそうだし
殺してもらうか?
でもこの人は犯罪者になるのか?もうなってるのか?

というか

寒い!!!!)

服に着いた雪が体温で溶け、水となって張り付いて体を冷やしてきた。

(雪山で死ぬのは苦しくないって噂は聞いたけど
寒いのが嫌いだから他の方法にしたのに!!)

体が震え始める。
夏生まれ夏大好きのにとって、寒さは天敵だった。
地球温暖化も大きな声では言えないが、冬がなくなるなら悪くない
とも考えてしまうほどだ。
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