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祝福と呪いと兄と

第3章 目的



「そんな事言われても…!」


「早くしないとずっとこうしてるぞ?」
とい言い、に見えるように人差し指をペロリと舐めあげた。



「っうぅ…きょ、今日尾形さんと別れてから…魚売りさんに話を聞きまして……ぅぅ」
傷の辺りを啄まれる。仕方がないから話しているが、話に集中ができない。
なんでこんな羞恥を晒さなければいけないんだと、は耳を真っ赤にする。

「それで?」
尾形が横目使いで聞く。

「それで…夕張で墓荒らしがあるらしくて……はぅっ!」

ザリザリと暖かい舌が手のひらを舐める。

「ぅぅぅ〜!身寄りのない炭鉱夫が多くいる所らしくて!もしかしたら囚人の皮目当てで誰かほりかえしてるのかなって思いました!
以上です!」
声に勢いをつけては言い終えた。


「分かった。土方達に報告しておこう。」

そう言って尾形は指から口を離し、

(!?)

ペロリ、との唇を舐め、上機嫌で去っていった。

「なっ……


(なんでこんな事するのよーーー!!!)

怒りと恥ずかしさが混じる。
一昨日までは二人密室でも何もしてこなかったのに、何故昨日から急にちょっかいを出してくるようになったのか。
身に覚えがない上、尾形も何も教えず去っていくので訳がわからない。
そんな尻の軽い女に見えるような事をしただろうか?
むしろ朝に指を噛んで威嚇した位なのに。
こうなったら私が死んでも記憶に残っちゃうどころか、数々の不誠実な行動を泣いて後悔させてしまおうか!
と、色々と考えながら唾液の着いた手を洗う。
手を拭き、熱くなった顔を冷ます為に洗った冷たい手を頬につけると

(…あれ?)

クンクン、と手を嗅いでみる


「………魚臭くない。」


尾形が舐めた方の手は、何故か魚臭さが消えていた。

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