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祝福と呪いと兄と

第3章 目的


東の空から日が上がり、辺りが明るくなっていく。
大体7:00位といった所だろうか。
土方集は皆起き、それぞれ今日の支度をしていた。
は前日に家長から日頃の食事について聞いていたので、
朝ご飯の準備をしている。この時代では女がやる事だ。
それに

(ちゃんとしたご飯が食べれるなんて幸せです…。)

尾形と野宿していた時は調理器具などないので、草や木の皮などを食べていた。嫌ではなかったが、今日は麦ご飯にたくあん、菜っ葉の味噌汁だ。
名前の着いたご飯に喜びを感じる。次はたくあんを土方さん用に細かく切ろう、と後ろを向いた時、丁度通りがかった尾形と目があった。


「よう」
嬉しそうにニヤりとしながら声をかけられる。

「……………」

人生最上級のジト目を送る。

「なんだよ。そんなに俺の事が気になるのか?」
台所に入ってに近づいてくる。

「………尾形さんの所為でこの世に未練が出来ました。」

「ほぉ…どんな未練だ?」
そう言っての顎を掴んで上にあげる。
しかしは顔を揺らし振りほどき、ガッと尾形の指に噛み付いた。

「!」


「……私負けず嫌いなんです。
あんな不誠実な事されて何も仕返しせず死ぬのはポリシーに反します。
なので、仕返しとして私が死んでも尾形さんが私の事忘れないようにしようかと思いました。」

尾形が目を細くしながら、噛まれた指を舐める。
指には軽く歯型がついていた。

「機が熟すまで自殺は計画しません。
尾形さんの事も全力でサポートします。
だから私が死んだ後、居もしない私の事をいっぱい思い出してくださいね」
はにっこり笑顔でそう口にした。
尾形もにっこり返す。

「ッ!」

グッと首を掴まれ上を向かされる。
喉が締め付けられ、酸素を求める口からは唾液が溢れそうになっている。

「それは楽しみだな。この歯型みたいにあっさり消えないよう、せいぜい頑張れよ」


そう言って尾形はに口付けし

「ッツ!」

唇の端を噛み切った。

唇に移ったの血を舌で舐め、
尾形は台所を後にした。


「ひぇー……」

(ヤバイ人にふっかけちゃったなー……)

と、思いつつも引き下がる性格ではなかったので、後悔はせず引き続きたくあんを切っていった。
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