第2章 変化
がこちらを振り向く。
「いらっしゃったんですね。」
少し拗ねたように言う。
「お前が牛山に喰われないか見てやったんだよ。」
間違ってはいない。
「……ありがとうございます。」
(……少し色々聞いてみるか……)
「お前は何でそんなに死にたがってんだ?
俺との約束はどうした?」
尾形はその場に座り込んで、そう問いかけた。
それからの母からの呪いについて聞いたが、
「死にたがりの自分も好きです」とは笑ってみせた。
人が嫌煙したくなるような事も、コイツは好きになって笑ってしまうのか、と思ったら尾形は気が緩んで笑ってしまった。
「変なやつ」
ふと、が縁側から立ち、
少し距離を置いて隣に座る。
腕で顔を軽く隠し、隙間から尾形を見つめている。
「……何だ?」
尾形が問う。
は髪を高めに1つに結んでいた。ご飯を食べる為だったのだろうか、セーターからは白いうなじが見えている。
は顔は普通だが、肌が白い所為か時折妙に色っぽい所があった。
「………教えません。」
少し笑って答えた。
(煽ってんのかコイツ…)
妙な狩猟本能が尾形の中に湧き上がってきた。
このままほっといて牛山に喰われるより、
このままほっといて理由もなく死ぬより、
一度かけてみるのもいいかもしれない。
「………明日も情報集めで早いですもんね。
お風呂行きますか。」
がそう言って立とうとする。
逃すまいと尾形が腕を掴み自分の方に寄せ、
強引にキスをした。