第2章 変化
(コイツ……知らない間に撃ち方覚えやがって…)
尾形の銃を持ち、が庇うように座っている。
茨戸で尾形が櫓から落ちた時の事だ。
(死なせるには少し惜しいかもな)
は意外と飲み込みが早かった。
観測者の役割もこなし、集中力もあり、尾形のサポートをしっかり勤めていた。
山での野宿も嫌がらず、意外だと聞くと
「まぁ、軽い社畜経験あるので4時間以上寝れるだけ良いかな、と」と、答えた。
(しゃちく…?)
時折意味の分からない単語を言うが、言いたいことは分からなくもないので尾形はスルーしていた。
そこを含めてもは人材として恐らく優秀な方であろう。
しかし、"必要な人員として死んでほしくない"程ではなかった。
本人が死にたがっているというのもあるが、いざとなれば尾形一人でも観測はできる。
だが、茨戸での思いもよらないの行動に、
尾形は少し気持ちが高まるのを感じた。
(面白れぇ…)
それから日泥集の一人を撃ち。日泥の館で土方達とを待っている間から、どうやってコイツに生きる気持ちを与えるか、を考えていた。
が、中々良い案も出てこない。下手な事を言ったら死ぬし、だからと言ってじっくり相手に響く言葉を考えている余裕もない。その間に死んでしまいそうだ。
そうして考えるのも面倒になってきていた頃に、
牛山から逃げて縁側に向かうを見た。
(あの様子からみるに、牛山からの誘いは断ったみたいだな…)
ふと牛山に抱かれたを想像してしまい、
もやもやした。
(いや、何故わだかまる必要がある)
「尾形さんには、少し、迷惑かけちゃうかな……」
と、縁側でが呟く。
(……)
一瞬牛山の事で迷惑をかけるのかと思ってしまった。
だか、恐らくまた自殺の事だろう。
「また死ぬことか?」