第2章 変化
彼を受け止めるには間に合わなかった。
ドスン!!
と音がして、尾形が背中から落下する。
「やったぞ!やぐらの男を倒した!!」
日泥集の歓喜の声が聞こえる。
ヤバイ。
尾形の体に触れようとするが、留まる。
(尾形さんは背中から落ちたから下手したら脊髄損傷だ。
動かしたら悪化するかもしれない。
しかし日泥集がトドメを刺しにくるかも。
動かせない、でも動かないと殺される。)
歓喜の声は遠くはない。早く判断しないと二人とも死ぬことになる。
「すみません、借ります。」
そう言っては尾形の銃を持ち、
ジャキッと音を立て弾を装填する。
尾形と共に過ごしている間、銃自殺ができる機会があるかも
と、念の為撃つ工程を見て覚えていたのだ。
「見真似で当たったら私は天才だね」
そう。きっと当たらない。
でも何もしないよか、絶対いい。
誰かを庇って死ねるなら、最高の死に方だ。
尾形を隠すように前に座る。
その時、日泥の羽織を着た男を建物の間から見た。
目が合ってしまった。
きっとこっちに来る。
当たるだろうか。
心臓がドクドク鳴る。
私は死んでもいい、だから
「お前の肩だと外れちまうかもな。」