第17章 理由
今度こそ一花の腕を掴み、一花の元に座り込む広瀬。
「一花…、」
『芽美、これからもよろしくね。』
「一花、…ごめん。…ごめんなさい。」
そのまま一花に体を預ける広瀬。
だが、座ることができない一花がそれを支えられるはずもなくそのまま二人一緒に床へと倒れこむ。
ドンッ!!
『うっ…。』
「一花!!」
鈍い音に驚いた広瀬はすぐに一花から退き、俺は倒れた一花の体を抱き起す。
「大丈夫か!?どっか痛いとこねぇか!?」
『大丈夫、そんな心配しなくていいよ。』
「そんなはずないだろ!あんな音したんだ、本当に大丈夫なのかよ!?」
『ほんとに大丈夫。ありがとう、大我。』
俺の頬に触れてくる手は温かく柔らかい。
その手に軽く口づけ、一花を車椅子に乗せる。
すると、突然後ろから笑い声が。
「っアハハハ!!」
『芽美…?』
ヒーヒー言いながら、腹を抱えながら笑う広瀬。
さっきまで泣いてたくせに、意味分かんねぇ…。
『どうしたの、芽美?』
「…いや、本当にラブラブだなって。」
『そ、そんなことないよ!』
「そんなことあるよ。一瞬でも邪魔しようとした自分が馬鹿らしくなるくらい。」
『…そんなにイチャイチャしてな…、』
「してる。…とにかく、」
一花の言葉を遮り話す広瀬。
すると、突然頭を下げだした。
「ごめんなさい。」
『ちょ、ちょっと芽美。やめてよ、そんなこと。』
「いや。本当に後悔してる、ちょっとでも二人の仲を引き裂こうとしたこと。許してもらえるとは思ってない。…でも、一花の言う通り私もこれからも一花と一緒にいたい。」
ゆっくり頭をあげてそのまま続ける。
「そんなこと言うのおこがましいっていうのは分かってる。でも、これは本心だから。」
『芽美…。』
「これからもよろしく、一花。」
そう言って二人は抱き合ってた。
お互い泣きながら。
女ってのは不思議だ。あんなに嫉妬に狂っていたのに、今はもう何事もなかったかのように元通りに戻ってる。
でも、これで良かったんだ。
一花の支えが居なくならなくて本当に良かった。