第16章 相談
「お前がそれで満足するならな。」
『…どういうこと?』
「お前が抱いて欲しいって言えば、火神は抱くだろうよ。でも、それで本当にいいのか?」
『そ、それは…。』
自分でも分かってた。
抱かれればいいって話じゃない。気持ちが通い合って初めて繋がったと言える。
そんなこと分かってた。
でも、大我のことを考えるとどうしても焦ってしまうのだ。
でも、青峰くんはそんな私の心を見透かしたように落ち着いた声で話す。
「一花、焦んな。」
『…だって!』
「お前の気持ちもよくわかる。でも、火神は五年間も耐えてきたんだ。その努力を無理に形にする必要はないだろ。」
『青峰くん…。』
「お前たちのペースでいい。火神と話し合ってお互いが抱き合いたいと思ったら、抱かれればいい。それだけのことだ。」
『………。』
…その通りだな。
私は抱かれるという事実だけにこだわって、お互いの気持ちを考えてなかった。
『青峰くん…。』
「どうした。」
『私、話してみるよ。今まで逃げてきたけど、私やっぱり大我のことが好きみたい。とっても怖いけど、繋がりたいと思うの。これって変かな…?』
私の発言に少し目を丸くした青峰くんは、フッと人笑いし、おかしくねぇよと言ってくれた。
「好きな奴がいる女はみんな思ってることだ。心配すんな。」
そうだよね。私は大我と繋がりたい。
これは愛し合っている人同士なら持って当然の気持ちだ。
ただ、私は怪我を理由にその気持ちから目を背けてた。
でも、昨日一歩進展したことでより抱かれたい、その想いが強くなった。
今こそ、その気持ちを大我に伝えるべきだ。
『ありがとう、青峰くん。なんだかとっても楽になった気がする。』
「そうかよ。まぁ、俺は何もしてねーけどな。」
『…フフッ。優しいね、青峰くんは。』
「うっせーよ。あっ、ヤったら俺に一番に報告しろよ。」
『ちょっ、ちょっと!そんな言い方やめてよ!』
「へーへー。…でも、ほんと良かったぜ。一時はどうなるかと思った。」
『…?どういうこと?』
「あっ、…いや何でもねぇ。こっち話だ。」
『えー!気になるじゃん、教えてよー!』
結局、そのことについては話してくれなかったけど青峰くんに相談してよかった。