第16章 相談
それでも青峰くんはいつもと変わらない落ち着いた口調でこう言った。
「当たり前だろ。」
『…えっ?』
コーヒーを一口飲んでから青峰くんは続きを話してくれる。
「好きな女目の前にして抱きたくねぇ奴なんていねぇよ。怪我してるとかしてないとか関係ねぇ。好きな奴は抱きたい。男っていうのはそういう生き物なんだよ。」
『そうなんだ…。じゃあやっぱり大我には相当我慢させてるのかな…。』
「まぁ、そうだろうな。」
『青峰くん…。』
「火神は同じ男として尊敬するぜ。普通我慢できねぇよ、5年も。…相当大事なんだろうよ、お前のことが。」
『……。』
「じゃねぇと待てねぇよ、そんなに。だって5年だぜ?今だって相当辛いはずだ。」
『…そう、だよね。』
あまりにもストレートな言葉に言葉が詰まる。
本当に辛い思いさせてたんだね。
ふと涙が出そうになった時、青峰くんが口を開き始めた。
「けど、それ以上にお前のことが好きなんだろうな。」
『………!』
「火神の顔見てれば分かる。お前のことが好きで好きで仕方ありませんって、顔に書いてあるじゃねぇか。」
『…そうかな?』
「あぁ、そうだよ。お前にとっちゃあそれが当たり前なんだろうけど。それに、」
『…それに?』
「一花、お前も顔に出すぎ。二人共もうちょっと隠せねぇのかよ、ってくらいデレデレしてるぞ。」
『し、してないよ。』
「いーや、してる。俺が言ってんだ、間違いねぇ。」
『そんな…、無理やりだよ。』
でも、本当にそうだとしたらすごい恥ずかしい。
それに、人から聞くと改めて感じる。
私、大我に愛されてるんだ。
だからこそ、より辛い。
私、このまま大我に我慢させっぱなしでいいのかな…。
『ねぇ、青峰くん。』
「なんだ。」
『やっぱり抱いてもらった方がいいのかな…?』