第16章 相談
エレベーターで二階まで移動し、青峰くんを家に案内する。
「へー、いいとこ住んでんだな。」
『そんなことないよ。』
「車椅子、俺が押した方がいいのか?」
『ううん、大丈夫。一人でできるよ。好きなところ座ってて?』
「おう。」
青峰くんが椅子に座ったのを確認してから、準備していたお菓子と飲み物を持って行こうとするがこのままだと車椅子で移動できないので結局青峰くんに手伝ってもらう。
『青峰くん、ちょっと来てもらってもいい?』
「ん、どうした?」
『これ、運んでもらってもいい?』
「おう、任せろ。」
青峰くんはお客さんだから本当はこんなことさせちゃいけないんだけど、優しい青峰くんは快く引き受けてくれた。
『ごめんね、青峰くん。』
「謝んな、そこはありがとうって言え。」
そういえば、大我も同じこと言ってたな…。
『そうだね。ありがとう。』
「どういたしまして。」
そうやってぶっきらぼうに返す青峰くん。
やっぱり彼は大我に少し似ている。だからなのか、青峰くんと居るとなんだか落ち着く。
こんなこと聞くのは恥ずかしいが、彼になら話せると思って今回は相談に乗ってもらうことにした。
でも、なかなか自分からは切り出せなくてモヤモヤしていると青峰くんがさっときっかけを作ってくれる。
「で、どうした。なんか聞きてぇ事でもあんだろ。」
『…うん。あ、あのね、私と大我ってまだそういうことしたこと無くて…。』
「おう、知ってる。」
『そ、その例えば…、青峰くんは自分の彼女が一生治らない怪我をして、その、感じたりすることができなくなっても抱きたいと思う…?』
いきなりその質問は失礼だったかも知れない。
でも、私は正直焦っていた。
昨日の事があって大我が我慢してくれてた事を改めて知ったからだ。
大我はいつも大丈夫、大丈夫って言ってくれるけど、私は不安でならなかったし、とても辛かった。
大我のことを信じていないわけじゃない。
でも、どうしても他の女の人に取られてしまわないか不安になるし、自分が大我に我慢させているのかと思うととても辛かった。