第15章 和睦
「はぁ、っはぁ…。」
射精後特有の倦怠感が襲ってきて、改めて自分が達したことを実感する。
『大我、気持ち良かった?』
一花がそう言って尋ねてくる。
正直女の手でされたことなんて無かったから、今まで感じた事がないくらい気持ち良かった。それにその相手が好きな女なら尚更だ。
でも、その後俺に残ったのは怒りだった。
「…なんでこんなことしたんだ。」
『大我…?』
「なんでこんなことしたんだ!!」
ビクッ
一花が驚きと恐怖に肩を震わす。
でも、そんなことお構い無しに一花の肩を掴む。
放り出されたシャワーヘッドからは絶え間なくお湯が吹き出ていた。
「俺はこんなこと求めちゃいない。なのになんで勝手にこんなことしたんだ。」
『嘘…。』
「何?」
『嘘だよ!求めてないなんて嘘!』
「どういうことだよ!俺が一言でもそんなこと言ったか?」
そう言うと、苦しそうに顔を顰めながら一花が小さく呟く。
『ねぇ、大我。』
「なんだ。」
『芽美とどっちが気持ち良かった…?』
…はぁ?
「なんでそこで広瀬が出てくんだよ。」
『だって今日、厨房で二人で抱き合ってた。芽美が大我にシてあげてるのも見た。』
「なっ、お前、あれ見てたのか?」
『見てたよ!全部!大我が芽美の胸を触ってるとこも…。』
「あれは…、」
『言い訳なんて聞きたくない!…私、悔しくて、苦しくて。やっぱり大我に我慢させてたのかって、』
話が思わぬ方向に進んでいってる気がする。
『ごめんね、ただの嫉妬。でも、そんなに嫌ならもうシないから。本当にごめんなさい。…だから嫌いにならないで。』
嫌いになんてなるはずなかった。
大体、広瀬のことなんかもう頭に無くてまさかそれが原因だったなんて思いもしなかった。