第11章 お仕事
一花side
大我が仕事に出て、私はしばらく朝ごはんを食べていた。
私の仕事はイラストレーター。
中高共に美術部だった事や、家で座りっぱなしで出来るお仕事を探していたためこの職業は私にうってつけだった。
自分で言うのもなんだが、割とお仕事は頂いている方だと思う。
今は新作のゲームのイラストを描いている。
そのゲームの世界観やキャラクターの表情一つひとつを表現していくのは、とても難しいがそれ以上にやり甲斐がある。
我ながら、いい仕事につかせてもらった。
大我のカフェは午後の7時までやっているので、その間はなかなか会えない。
仕事の邪魔をするわけにはいかないから。
車椅子で自分の部屋に移動し、服を着替える。
この生活が5年も続くと、服もスムーズに着替えられるようになって来た。
軽くメイクをし、仕事に取り掛かる。
今回のゲームは戦国武将もの。
今は真田幸村を描いている。
私の中の幸村は誠実で真面目で、物事に対して熱い男というイメージだ。
まるで愛する彼のようだ。
今回はゲーム側から少し童顔にしてほしいという要望があったので、それに応えたうえで先程のイメージを乗せて描いていく。
目は少し可愛らしく、眉は凛々しく。
鼻筋を通して、口は少し自信に溢れているように。
輪郭は少し丸めに描いて……完成だ。
彼を思い浮かべながら描いたお陰か、かなりの自信作になった。
夢中になって描いていたら、もうお昼時だった。
大我が作ってくれた料理を電子レンジで温め、一人で食べる。
少し寂しいが、大我特製のオムライスがすごく美味しくてそんなのはすぐに吹き飛んだ。
一気に食べ進め、あっという間に食べ切った。
流しまで移動し、一生懸命手を伸ばし食器を水に浸ける。
これが案外大変な作業だったりする。
午後は録り溜めていたドラマを見て過ごした。
いつの間にかウトウトしていたようで、私はすぐに眠ってしまっていた。